~国内最高級セダンの座を争うフーガのハイブリッドは、パワフル&豪華!~
日産のフラッグシップセダンのフーガのハイブリッド版です。評判のいいVQ35HR型のV6エンジン(306ps/6800rpm, 35.7kgm/5000rpm)に68ps, 29.6kgmのモーターと組み合わせたパワーユニットを搭載。スカイラインと同様にフーガは現行世代からインフィニティのバッジを付けています。4980 x 1845 x 1500のサイズで彫りの深い造形は堂々として、まさにフラッグシップセダンです。ドアを開けて運転席に座ると、日本車ならではのおもてなしに満ちた豪華な車内です。車の大きさの割には室内は包まれるようなややタイトな印象です。
走り出すと、路面からのショックをよく吸収する乗り心地のいい足回りであることが分かります。センターコンソールにはモード切替のダイヤルがあり、スポーツモードに切り替えるとトルクの出方が変わります。わずかなアクセル操作にパワーユニットが敏感に反応してトルクを出すようになります。踏み込むと、想像をはるかに超えてパワフルです。もともと、VQ35HRは7000rpmまで気持ちよく回るパワフルでスポーティーなエンジンですが、それにモーターが追加されています。1850kgの巨体をあっという間に加速していきます。かなり速いです。それでいて、市街地でも燃費が12km/lほどというから驚きです。
では、フーガは走りのセダンなのかというと、あまり、そんな印象でもありません。ステアリングが軽くて大きくクイックさはないものです。スカイラインにはパワステの重さを調整する機能があるそうなので、フーガにもそんな機能を付けてほしかったものです。やわらかい足回りと相まって、全体的にふわふわなコンフォートな味付けです。エンジンが静かなことも走りの印象を弱めていると思います。Y50フーガのVQ35HRは刺激的な音を発する高回転ユニットだった印象があるので、それと比べるとずいぶんとおとなしくなった印象。また、スピーカーからエンジンと逆相違の音を出してエンジンからのノイズを抑える「アクティブ・ノイズ・コントロール」を搭載しているのですから、スポーツモードでの音のチューニングを少しがんばっていただくなどの演出もあってよかったのではないかと思います。また、見た目に豪華な内装ですが、スイッチやレバー類の操作感が軽くて高級感が薄いように感じられました。ドイツ車の同クラスの車のように精度の高いカッチリした操作感と音は感じられませんでした。ドア開閉時の重厚さと音も、このクラスのセダンとしては軽すぎる印象です。
パワフルで静かでしかも燃費のいい高級セダンなのですが、やはり、クラウンを横目に見ながら開発されてきたんだと思います。クラウンと比べたらスポーティーな乗り味、クラウンと比べたら大きくて押し出しの強いエクステリア、クラウンと比べたら差別化されたブランド。かつて、クラウンと切磋琢磨していたセドリック・グロリアを先祖にもつフーガですが、今は時代も変わり、輸入車も含めたより広範囲の競合を出し抜く独自の味が必要になっているのではないでしょうか。魅力的な雰囲気とメカニズムを持った車なので、少し味付けを変えたモデルの追加などあると楽しみです。
スペック フーガハイブリッド(Y51) 2015~ | |
駆動形式 | FR |
全長×全幅×全高 | 4980×1845×1510mm |
車両重量 | 1880kg |
エンジン | |
種類 | V型6気筒DOHC |
形式 | VQ35HR |
過給機 | 自然吸気 |
排気量 | 3498cc |
最高出力 | 306ps(225kw)/6800rpm |
最大トルク | 35.7kg・m(350N・m)/5000rpm |