梅雨も明けたようで、すっかり、夏の暑さがやってきました。暑い夏こそ、快適な車で涼しい高原にでも行ってみたいものです。自然に囲まれたキャンプへ仲間や家族と行くことを考えると、VOLVOはぴったりです。車の機能性などももちろんですが、なぜだか、VOLVOという車は、自然の中で過ごす休日によく馴染みます。以下はそんなことを感じながら、昨年の夏に書いたものです。
~ トレンドを押さえつつも、しっかりとVOLVOなSUV ~
VOLVOと言えばステーションワゴン。ステーションワゴンと言えばVOLVO。とくにV70はワゴンの定番として不動の地位にいます。キャンプ場で荷物を満載して犬を載せたV70なんか見ると、いいなあと思ってしまいます。XC70は、おおざっぱに言うとV70の車高を上げて、SUVらしいエクステリアを与えたものです。はたして、XC70はアウトドアでV70を超えた存在なのか試してみました。
感じたことを結論から言うと、最近のトレンドをきっちりと押さえた現代的なクルマではありますが、しっかりとVOLVOの世界観を持っている車だと思います。
まずは、XC70の最近の自動車らしい側面から見ていきます。
■エンジンは5気筒ダウンサイジング・ターボ
2500ccの直列5気筒ターボという独自のエンジンです。もともと搭載されていた3200ccの直列6気筒自然吸気エンジンに対するダウンサイジング・ターボだと考えられ、パワーもトルクも向上させています。このあたりは昨今のトレンドを押さえています。ダウンサイジングによって得られた燃費はカタログ上で8.4km/l。実際に高速道路中心に走らせると9km/l弱程度で、ほぼカタログどおりです。レウアウトは直列5気筒という変則的なものです。直4よりも低振動、高出力で、V6よりも軽量、好燃費で低速トルクが出しやすいという利点がある半面、直4よりも全長が長く、低速トルクと燃費で不利になり、V6よりも全長が長く、振動と高回転のパワーで不利になりやすくなります。直6と比べたらコンパクトで好燃費ですが、直6の完全バランスと比べたら振動は当然出てしまいます。
実際に走らせると1880kgの巨体にも拘らず踏み込めばパワフルに加速していきます。これは意外と言ってもいいほどの力強さです。高速道路でもストレスを感じません。ただし、回転のスムーズさと燃費の面では、もう少し頑張りが必要かもしれません。エンジンの音と振動は4気筒に近いもので、700万円近い車ということを考えると少し残念になります。特に中回転以上の音は気持ちのいいものではありません。スポーティーな車であれば、排気音で演出したりもできるんでしょうが、そういう車ではないので、エンジンの素の特性が出やすいのかもしれません。それも味だと考えればいいのですが。燃費は、4WDだということを割り引いて考えても改善の余地があります。多くのドイツ車は3000ccクラスの過給機付きであっても、より好燃費だと思います。
■依存症になりそうなほど快適なアクティブ・クルーズ・コントロール
XC70のアクティブ・クルーズ・コントロールは、なかなかのデキです。クルーズ・コントロールと言いますが、市街地でも積極的に使いたくなるほどです。同種の機能は各社が提供していますが、VOLVOのものは、高速道路の速度レンジから市街地での低速度域まで自由に最高速度の設定ができ、前車に追従して、システムが積極的に加減速を自動で行い、完全停止まで自動でします。前車がいなければ、設定速度までかなりアグレッシブに加速していきます。完全停止した後に再度走り始めるとこには軽くアクセルを踏んでやる必要がありますが、それだけで、そのほかのアクセル・ブレーキ操作は自動で行われます。自動制御中にドライバーがアクセル・ブレーキを踏むと、自動制御が解除されますが、ハンドルの配置されたボタンを親指で押すだけで、制御解除前の設定で自動制御がすぐに再開されます。使い勝手はいいと思います。心配なのは、便利なだけに、依存しすぎてしまいそうなことです。自動制御は、ドライバーの運転を支援する機能であって、当然、自動制御にまかっせっきりにして良いわけはないのですが、この車のアクティブ・クルーズ・コントロールはできがいいだけに、わかっていても、そんな依存心が生まれてしまいそうになります。普通に考えれば、前車との車間距離の調節はドライバーが意識もすることなく足が勝手に行うようなものですが、この車に乗っていると、「足が考えることをやめる」ような状態になりそうです。万一に備えてブレーキに右足を触れさせておくのをサボってしまっていたり、ちょっとしたよそ見であったり、当たり前のことを忘れてしまいそうなほど快適です。正しく使えば、間違いなく安全運転に寄与し、ドライバーの負担も軽減するものなので、うまく使いたいものです。
■電子制御可変ダンパーでゆったりからキビキビまで
電子制御式の可変ダンパーが試乗車には搭載されており、COMFORT、SPORT、ADVANCEから走行中いつでも選んで切り替えられ、順番に足回りが固められていきます。ADVANCEにすると走行安定性が増して、高速道路での急な車線変更をしても、不安になるような挙動はずいぶんと押さえられます。高速道路では、このモードが走りやすいです。COMFORTにすれば、ゆったりとしたいつものVOLVOの味になります。XC70の高い車高では高速道路では、ややロールが大きくなりますが、一般道や未舗装路では快適で、この車にはこのモードが本来はお似合いなのかもしれません。
以上のような、今ふうの機能満載のXC70ですが、従来のVOLVOらしさはしっかりと踏襲されています。軽くてダルなハンドルは、この車のキャラクターを象徴していると思います。急がずゆったりと乗ってほしいと車が訴えかけてくるようです。エンジンにもピーキーさや過敏さはなく、アクセルを踏むとじわっと確実にトルクが立ち上がってきます。けっこうなトルクのあるエンジンなので、加速感自体はわりと強いのですが、トルクの入り方がとてもマイルドです。この車に乗っていると落ち着いて走ろうという気になります。刺激的ではないけども、長距離を走って疲れない車です。荷物を満載して景色を楽しみながら、田舎道をゆったりと走るのが似合う車です。そういう車なので、けっしてドイツのプレミアムブランドと比べてはいけないと思います。メルセデスやBMWと比べたら、エンジンも足回りも随分とユルイですし、内装の素材の質、組み付け精度、高級感でもかないません。スイッチ類の操作感ひとつとってもドイツ車とは違います。最近のVOLVOはプレミアムカーとして見せようとしているように感じられますが、高級ドイツ車の劣化版のようにはなってほしくありません。VOLOVOならではの独自の世界観に突き進んでいただきたいものです。スカンジナビアン・ラグジュアリーな内装とのことですが、どうなんでしょう?インテリアは素材にもう少しこだわってくれたらよかったんじゃないでしょうか。木目調パネル、メーターフードの樹脂のクオリティが少し残念で気になってしまいました。シートは良いと思います。シートはVOLVOならではのやわらかくて包容力のある座り心地で座った瞬間から良さが感じられ、長距離移動も楽です。
高級車として見てしまうと気になる点は多いのですが、ボルボらしさは健在です。独自のスタイルを持った快適なトラックとして見れば魅力的な車だと思います。汚れや傷を気にせず使い倒すのがかっこいいプレミアムトラックみたいな唯一の存在を極めていただきたいものです。
以上が、昨年の夏に書いた文です。見返してみると批判的な表現をした部分もありますが、この季節になると、『VOLVO x キャンプ x 仲間 x 犬』の黄金の掛け算を見かけるたびに、いいなぁと思ってしまうことがよくあります。VOLVOは、そんなシチュエーションで、オーナーを幸せそうに演出できる車なんだと思います。やはり、いい車だと思います。
スペック VOLVO XC70 T5 AWD | |
駆動形式 | 4WD |
全長×全幅×全高 | 4840×1890×1605mm |
車両重量 | 1880kg |
エンジン | |
種類 | 直列5気筒DOHC |
形式 | B525 |
過給機 | ターボ |
排気量 | 2497cc |
最高出力 | 254ps(187kw)/5400rpm |
最大トルク | 36.7kg・m(360N・m)/4200rpm |
Hola y gracias por este blog es una verdadera inspiración .. Grethel Tailor Casanova