BMW530iツーリング(E61)

 

〜駆け抜ける喜びを堪能できる直列6気筒BMW。しかも、燃費が良く実用的な高級ワゴン〜

駆け抜ける喜び。伝統の直列6気筒。BMWらしい走りを堪能できるアッパーミドルのステーションワゴンです。
外観は前から見るとセダンと変わりません。E60系ならではの眉毛つきヘッドライトとキドニーグリルが印象的な顔です。ヘッドライトにかけて削り取ったようなボンネットの造形は見事です。
BMW530iセダンと変わらないドライビングポジションの運転席に座ると、フロントガラスの向こうに長いボンネットの盛り上がりが見えます。内装は5シリーズならではの、革と木目を組み合わせた上質でゆったりとしたものです。ダッシュボードはシンプルな直線基調で、ややレトロなスイッチ類と木目が80年代の上質な家具のような雰囲気を醸し出しています。

スタートボタンを押してエンジンの目を覚ますと、ヘッドライトが点灯して、生き物の眼のように上下左右に動きます。少しモビルスーツ的でガンダム世代にはうれしい演出です。

ゆっくりと走り始めると、とても静かな印象。この個体はMスポーツではないノーマルモデルだからでもありますが、足回りはしなやかで凸凹のある路面では、路面の情報は伝えつつも、ゴツゴツ感のとがった部分をサスペンションがうまく吸収してくれているのが感じられます。この個体が標準装備のランフラットではないノーマルタイヤを履いていることも乗り心地を良くしているようです。寛げるインテリアと相まって、ゆったりと落ち着いて走るのが適した車だと感じられます。賛否あるiDriveも慣れてくると、ひとつのボタンですべての操作ができて快適です。

アクセルを踏み込むと雰囲気が変わります。エンジンの回転数が上がるとジェット機のような音を発しながら、一気に加速していきます。高回転でも不快な振動が全く感じられないのは、さすがはストレート6。気分が高揚するのはエンジンブレーキで回転数が上がった時も同様。精密に組み上げられたエンジンの中でオイルに覆われたピストンが高速で動いているのが想像できる音です。こんな音が感じられるのはBMWならではです。この世代の5シリーズの6気筒には、2.5リッターと3リッターのモデルがありますが、2.5リッターでは非力さは否めず、この音、振動、加速感のバランスは3リッターならではです。2.5リッターもとてもいい音が出るのですが、それだけに加速感がついてこないのは残念です。

なお、この車はかなり実用的な側面もあります。前席・後席とも広く長距離移動も快適です。とくに前席のシートはよくできていて、長距離移動しても疲れを感じません。荷室は500リットル以上あり、家族でのキャンプも十分にこなします。さらに驚くべきは燃費です。高速道路をおとなしく走っているときは14km/lほどです。

530iツーリングのE61後期型は200万円弱から中古が買えるようです。なお、2007年までの前期型は内装の質、AT、装備がかなり違います。エクステリアも微妙な違いなんですが、雰囲気がかなり違って感じられます。

 

 


スペック BMW 530i(E61) 2004~2010
駆動形式 FR
全長×全幅×全高 4855×1845×1490mm
車両重量 1780kg
エンジン
  種類 直列6気筒DOHC
  形式 N52B30A
  過給機 自然吸気
  排気量 2996cc
  最高出力 272ps/6650rpm
  最大トルク 30.6kg・m/2750rpm

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