マツダ ロードスター(ND)

~座ったまま5秒でオープンの唯一無二の爽快~

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とても高い評価を受けているらしい、5月に発売開始されたばかりのND型ロードスター。

1500cc直列4気筒のP5-VPR型エンジンは130ps/7000rpm、15.3kgm/4800rpm。アクセラに搭載されるP5-VPS(111ps/6000rpm、14.7kgm/3500rpm)と基本設計は共通のようですが、スペックからも分かるように高回転型の高性能な位置づけです。パワーはそれほどでもないですが、1000kgを下回るモデルも存在するほど軽量なことを考慮すると動力性能に不足はないであろうと想像できます。

 いざ、ロードスターの実車と向き合うと、3915×1735×1235mmの小ぶりなサイズであることを忘れてしまうほどの存在感です。実車と対峙してはじめて感じられるものです。低い車高と艶っぽいデザインのせいでしょうか。とくに艶かしいボンネットの曲面と、小さいけれど射抜くような睨みのきいた眼(ヘッドライト)が印象的です。

mazda_roadstar_2s運転席に座ってドアを閉めると、自分がロードスターの一部に組み込まれたような一体感を感じるタイトな空間に包まれます。初代TTクーペにも通じるような雰囲気です。そして、ロードスターをロードスターたらしめているオープンにするためのソフトトップを開く儀式がすばらしいものです。今では多くのオープンカーが電動トップになっていますが、ロードスターは手動。正直、手動での開閉操作の煩わしさというか、わざわざ車外に出てソフトトップをいじって開け閉めする必死な姿はオープンカーの爽快さをスポイルするものだと思います。ロードスターも手動とのことで、そんな残念さを感じることになるのだろうと想像していたのですが、なんと、いい意味で期待は裏切られました。ロードスターのソフトトップを開く操作はとても簡単。(1)ルームミラー上のロックを外す →(2)ソフトトップの取っ手を持って、後ろにもっていく (3)後ろに回ったところで、そのまま、カチッと音がするまで手で押す。たったこれだけ。車から降りる必要なく、一瞬で終わります。ソフトトップを閉じるときも一瞬です。(1)背中の運転席と助手席の間あたりにあるロックを外す →(2)ソフトトップの取っ手を持って、前に持ってくる →(3)ルームミラー上のロックレバーを引っ掛けて押す。この場合も、座席に座ったままで一瞬で終わります。これ、ものすごくスマートで爽快です。電動トップよりいいんじゃないかと思います。電動トップでは開閉に10秒以上はかかって、その間、開閉ボタンを押し続けていないと行けません。ロードスターなら、「カチッ、えい!、カチッ」で終わりです。これを経験してしまうと、電動開閉操作の10秒くらいの不自然な姿勢を取っている時間が爽快さをスポイルしているように感じます。ロードスターのソフトトップ開閉機構は本当にすばらしいです。

 そして、ロードスターの走りですが、軽量ボディに130psのエンジンは、実際に走らせてもじゅうぶんに軽快です。ハンドルを切れば車体は素直にすぐに向きを変えます。軽さこそがスポーツカーの走りの最重要ファクターだということを実感します。エンジンを回していくと、適度な振動と意外にワイルドな排気音の組み合わせが気分を盛り上げます。多気筒エンジンのようなシュオーンというスムーズな音ではなく、ブロロローという力強さを感じるものです。試乗車はATでしたが、アクセルを踏み込むとストレスなく高回転まで回っていきます。背中の方から聞こえる排気音はかなり手をかけてチューニングされたものと思います。この音をダイレクトに聞くためにも、爽快にエイッとソフトトップを開けてしまおうと思ってしまいます。ソフトトップをあければ、エンジン音とともにに風と環境音が感じられます。レスポンスのいいエンジンと軽快なハンドリング、取り回しに気を使わなくていいサイズのボディ。MT車が人気とのことですが、この車こそ、ATで気楽に爽快に楽しむのも悪くないと思います。mazda_roadstar_3s

 この車を楽しむのであれば、S Leather PackageのAT車を自分なら選びます。気楽に爽快さを味わうのに最適だと思います。シートヒーターはレザーシートにしか付かないとのことなので、冬場にオープンを快適に楽しむためには、レザーシート以外に選択肢がないと思います。レザーシートの内装は大人なゆとり感のある雰囲気です。AT車で肘をドアにかけながら片手でハンドルを握って気張らずに流すような乗り方も似合うし、かっこよく見えるクルマだと思います。少し残念なのは、肘かけ&左手ハンドルの場合、国産車はウインカーレバーが右側なので、ウインカー操作の度にドアに置いた右肘を動かさないといけないことくらいでしょうか。マツダロードスターに限ったことではないですが、とくにオープンカーのような爽快さを味わいたい車では、右ハンドルだからこそ、左ウインカーオプションがほしいところです。

 全体として、マツダ ロードスターは、すばらしいアイディアの詰まった完成度の高い楽しめる車だと思います。新車で300万円強。実際に買うとなると同価格帯の中古車とも比較になると思うので、悩ましい選択になるとは思いますが、気になる一台です。率直にオーナーがうらやましいと思います。


スペック マツダ ロードスター(ND) 2015~
駆動形式 FR
全長×全幅×全高 3915×1735×1235mm
車両重量 1060kg
エンジン
  種類 直列4気筒DOHC
  形式 P5-VPR
  過給機 自然吸気
  排気量 1496cc
  最高出力 130ps/7000rpm
  最大トルク 15.3kgm/4800rpm

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